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たらたらと秋の色。「琳派400年記念 琳派と秋の彩り」ブロガー内覧会 [見たもの読んだもの日記]

気が付けばもうすっかり秋の気配。というか夏はどこ行ったという感じの8月から9月。
とんでもない大雨が降ったり日照不足だったり、個人的にはとんだ顛末でいきなり無職になったりと、色々ありました。


さて、久しぶりの更新は、これまた道を忘れかけてたくらい久しぶりのこちらです。

いつかどこかで見たような構図?.jpg

山種美術館です。こんな撮影スポットができていましたよ。


「琳派400年記念 琳派と秋の彩り」展で、こんなイベントがあると知って行ってみました。よーし記事書いちゃうぞ。
青い日記帳×山種美術館 ブロガー内覧会(終了)

大まかには、アート系ブログ「青い日記帳」の管理人さんや、山種美術館館長さんのトークの時間を挟みながら、各々鑑賞してレポートしてねという流れになってます。


会場内は一部を除き撮影可。動画撮影OKの作品もありました。
ただし、ブロガー内覧会のみの特典です。

人物のシルエットは加工してあります.jpg


定員100名の貸し切りなので、作品もゆったり見られます。


琳派がどこから始まったか、これという定義はなかったように思いますが、琳派の祖といわれる本阿弥光悦が京都洛北の鷹峯に"芸術村"をひらいてから400年を迎えた記念の年として、琳派の展覧会がいくつか開かれているんだそうです。

今回、近世以前の作品は、軸装された小さめのものが主体です。
「琳派」と聞いて連想しがちな大画面の屏風絵はわずか。工芸作品もありません。

そんな中で、レポすることを前提に見るとすると、ちょっとテーマを絞ってみようかと。
「琳派」の特徴として、デザイン的な要素や金・銀を多用した装飾性などいくつか挙げられます。
今回は、展覧会でもクローズアップされていて、系統立てて見ることのできた「たらしこみ」に注目してみます。
墨や絵の具を塗ったところが乾かないうちに、濃度や色の違う墨や絵の具を「たらしこ」んで、にじみなど偶然の変化を画面に加える技法です。


まずはここから。創始者のひとりである、俵屋宗達(生没年不詳・江戸時代初期)の「鹿に月図」。

折じわが結構怖い.jpg


宗達のおおらかな描写がやっぱり好きなんですねー。
表装に使っている布も併せて載せられるのがいいです。

せっかく実物を撮れるんだから、めいっぱい寄ってみますよ。

いい墨なんだろうなあ.jpg


宗達のたらしこみは、墨が広がるにまかせたようなおおらかさ。
これで何かを表現しようとか意図していなさそうなのに、「牛図」では牛の筋肉の描写を狙ったとしか思えないほどハマっていたりするんだから、その自在さには驚くばかり。


琳派の絵画作品においては、宗達→尾形光琳(1658-1716)→酒井抱一(1761-1829)→鈴木其一(1796-1858)と時代が下るごとに、表現が硬質に、また写実的になっていきます。ギャラリートークでの表現を借りると、刃物が切れ味鋭いものになっていくような変化。


こちらは抱一の「寿老・春秋七草図」。

地味だけど春っぽいよね.jpg


緑青のたらしこみが、草花の質感や立体感につながる表現になってます。
宗達に比べると、かっちりとしてリアルな描写です。ペンペン草がかわいい。

ペンペン草がリアル.jpg


中村芳中(?-1819)が1点。「老松立鶴図」。
世代としては抱一に近いのですが、独特のゆるさやおおらかさがあって好きな作家です。

もっさりした鶴ですこと.jpg


たらしこみを多用し、それが独特な装飾性につながりさえする作品を多く描いていますが、この作品ではそれほど顕著ではありません。

普通に暈しかなあ.jpg


墨のぼかしが実にたっぷりとして、柔らかい質感になっています。



琳派の特徴のひとつとして、家系による継承や誰かに師事するのではなく、私淑により断続的に継承されていったことがあります。
今風にいえば、先達をリスペクトし、その表現を取り込みながら自分の表現にしていく、というところでしょうか。
その系譜は、近代以降の作家にもつながっていきます。


速水御舟(1894-1935)のたらしこみ。「秋茄子」(部分)(山種美術館蔵)。

なすってほんとにこうなのよ.jpg


いやー、なすってほんとにこんなだよねー。
ギャラリートークでも言及されてましたが、近代以降における「たらしこみ」は、装飾性よりも、質感や立体感の表現、またはマチエールとしての比重が高くなっていきます。


そしてこちらが、小林古径(1883-1957)のたらしこみ。「狗」(個人蔵)。

まあ古径だしね.jpg


古径はものすごく古典を研究した作家で、もちろん琳派も例外ではありません。
琳派を研究し、解釈したうえで制作された作品が何点も残っています。
とはいえ古径といってすぐ思い出すのは、張りつめまくった鉄線描。
ここまでたらしこみを意識した作品は、少ないんじゃないかな。


宗達の「犬図」を参考にしたようで、構図なども少し似ています。
その「犬図」ではないのですが、これも宗達の「犬図」(部分)。

昔はこんな犬ばっかりだったんだろうね.jpg


宗達の描く犬って、まるまる太ってころころしててかわいいんですよねー。草花との組み合わせも特徴的。


近代以降の作品は撮影不可のものが多かったのですが、まだまだ見どころはあります。
琳派の装飾性を現代日本画の表現として昇華させた、加山又造の豪華絢爛な作品。
琳派が大好きで、その装飾性やデザイン的要素を自分の表現に取り入れた、福田平八郎。などなど。

近代以降の日本画における琳派の受容(日本画以外にもありますが・・・)を見ていくうちに、展示は秋を題材にした近現代の日本画へと移っていき、第二会場で小さな秋まで満喫して終了。という構成でした。


さて、こんなイベント特典もありました。
美術館に併設されたカフェでいただける和菓子。
その時の展覧会にちなんだ、オリジナルのものが用意されています。

全部食べたいけど甘いもの頭痛になるね.jpg


1個510円するので、ずっと横目に見るだけ(貧)でした。
イベント特典でひとついただけてうれしい。(実はかなりこれ目当てだったりして・・・)

黒いのは月ですよ.jpg


上品ではありますがしっかり甘いです。濃いめのお茶といっしょだったらいいだろうなあ。
モチーフとなった作品はこれ。抱一の「秋草鶉図」【重要美術品】(山種美術館蔵)。

確かに鳥がいます.jpg


黒い月(銀を変色させた色です)、ウズラなどお菓子にしっかり入ってますね。


お菓子をいただきつつ、ロビーで投稿タイム・・・だったのですが、スマホをやめてガラケーにしてしまったため、リアルタイム投稿は最初からあきらめてました。
(3年ぶりにガラケーにしたら、その前より断然不便になっててびっくりですわー)
ガラガラになった展示室をもう一回りして、満喫して帰りました。同じこと考えてる人が何人かいましたね(笑)



みんなが知ってるような目玉作品は少なく、小品が多いのですが、作品を間近で見られるようになっているのがなかなかいいです。
カフェも含め、都会の真ん中で秋をのんびり楽しむ展覧会です。
着物割引もあるよ。


特別展 琳派400年記念 琳派と秋の彩り
2015年9月1日(火)~10月25日(日)(途中展示替えあり)
山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/

(9/17キャプション追記済み)

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コメント 5

luces

酒井抱一の緑青がとてもきれいです。
風情の有る和菓子がまた良いですね。


by luces (2015-09-15 22:43) 

リュカ

この展覧会観に行くつもりでいるのですが
なんとなんと
こんな内覧会があったとは知らなかったです(笑)
青い日記帳の管理人さんもいらしてたのですねー。

確かに和菓子は、濃いお茶といっしょにほしいなあ♪
by リュカ (2015-09-16 21:44) 

しろのぽ

lucesさん

緑青の色、実物を見るとほんとにきれいです。
天然の鉱物なので、産地などによって微妙に色が違うんです。きっといい絵具使ってたんだろうなー。
和菓子は、モチーフになった作品をよく見ているなあといつも感心します。


リュカさん

平日の真っ昼間にtwitterで見かけて、即メーラー立ちあげて応募しちゃった、という無職の特典です(笑)
ていうか、リュカさんに会っちゃうかも?と会場を見まわしちゃったのはナイショです。

ペットボトルのお茶は飲んでいいようになってましたけど、しっかり入れた熱いお茶がほしくなる甘さでした。お試しあれー。
by しろのぽ (2015-09-17 22:41) 

hoshizou

ご無沙汰してます。
きいろいのも、お元気のようで何よりです。
きいろいのと走ったのも、ずいぶん前のような、最近のような。。。

東北には、まだ来ているのですか?
私はしろのぽさんの様にしっかりとしたボランティアはできませんが、福島の海岸清掃(軽いやつね)とかを、仲間ライダー達と、半分楽しみながらやっています。
機会がありましたら、また、コラボしましょう。

復興フラッグはコレ
https://www.facebook.com/Reconstructionflag/timeline/

私がやっているキャラバンはコレ
https://www.facebook.com/flagtiescaraban

よろしくね。
by hoshizou (2015-10-03 12:00) 

しろのぽ

hoshizouさん

お久しぶりです。
東北、というか唐桑には、年数回遊びに行ってます。
最初に黄色いので行ってから10年がたったんですよね・・・。

かつてボランティア記事で「私も何かやる」みたいなコメントされていたのを覚えていますが、いやはや広がってますねー、さすがの行動力と実行力です。すごいことになっててびっくりです。



by しろのぽ (2015-10-15 22:32) 

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